子ども4人を育てるパワフルママ。日常のケアから外泊のサポートまで、利用者主役の生活を縁の下で支えている。
自分も住み慣れた地域で、その人がその人らしく生きるお手伝いがしたい
子ども4人を育てるパワフルママ。日常のケアから外泊のサポートまで、利用者主役の生活を縁の下で支えている。
更新
養成校を卒業し、脳外科の専門病院や急性期病院で働きました。結婚・出産を機に上京し、7年ぐらい専業主婦をしてから地域密着型の病院に復職しました。当然、自宅退院される患者様が多かったのですが、まだまだ医療的な処置が必要な方もたくさんいて。「これからどうやって生活するんだろう?」というところに興味を持ちました。それで今度は訪問看護ステーションで働きました。
訪看では、自分の看護師像が180°変わりました。「みんなで一丸となり病気を治す」という医療者視点から、「病気を抱えながら暮らす」といった生活者視点に。看護師が影武者のように生活を支えることに衝撃を受けたんですね。
ただ、ご利用者様のなかには、「受け入れ先がなくやむを得ず自宅で暮らしている」方が少なくありませんでした。そこで、医療や介護を必要とする方が自宅と同じような環境で暮らせるようサポートできたらと思い、ナーシングホームを選びました。
最初のきっかけは、生活圏内にベストリハのナーシングホームがあったことです。何かあってもすぐ子どものところに駆けつけられるところを魅力に感じました。
あとは、自分が暮らし、子どもを育てている「荒川」なので、その地域に密着した施設で働きたいという思いもありました。同じ地域で暮らしていると、知っていることや価値観が似通ってきますよね。共通点があるだけで安心されるご利用者様も多いです。ご利用者様のなかには、子どもが通う小学校の卒業生がいました。何十年も前の校舎の話をされるお顔はとてもニコニコされていて。「地元の人」というだけで安心感を与えられるところもきっとあると思います。
また、自分の生活圏に職場があると外部連携もスムーズです。「○○さんの知り合いですよね?」といったこともあったり。在宅サービスは人と人とのつながりがすごく大切なので、そういった観点からもベストリハに入社を決めました。
医療保険で訪問看護を利用することになるので、別表7(特掲診療料の施設基準等別表第7号)に該当する方が入居されています。なかでも、末期がんや神経難病の方が多いです。病院やご家族様などからご相談を受け、こちらに入居していただく形になります。
医療処置や経管栄養の投与なども行っていますが、「日常生活の援助」みたいなところが多いです。ナーシングホームは治療機関ではありません。制約がなく、入居者様・ご家族様の希望を実現するために、いろいろ工夫しながらサポートできるのが特長です。
例えば、人工呼吸器をつけながら外泊を希望される方がいらっしゃいます。そうした場合は、呼吸器管理を行う訪問看護を手配したり、万一に備えて救急搬送する準備をしたりしています。一時帰宅するためのコーディネーターというか、そういった役割も私たちが担っています。
また、看護業務とは関係ありませんが、生後5日の新生児やワンちゃんがお部屋に来ていることもあります。余命わずかな方もいらっしゃいますし、一瞬一瞬、入居者様のやりたいことをお手伝いできるところは醍醐味ですし、私自身すごく幸せだなと感じています。
スタッフのみんなにしっかり休んでもらいつつ、私自身も、シフトをうまく工夫しながら子どもとの時間を作れています。卒業式や運動会といった特別なイベントに限らず、保護者会などもやっぱり行くと子どもが喜ぶので笑
夜勤は夫に協力してもらっています。上の3人は手がかからない年になったのですが、一番の下の子が3歳なので、夜勤の時だけはお任せして。家族で協力しながら仕事をまわしている感じです。
応用力があるといいと思います。病院や老健などと違い医療資源が限られているので、そのなかで臨機応変に対応する必要があるからです。
また、自分の価値観を柔軟に変えられることも大切です。病院と違い、医療従事者にとっての正解が、ご本人様やご家族様にとっての正解とは限りません。「こうすべき」という固定観念にとらわれず、どうしたら希望を叶えられるかと考えられる人が、うちの施設には合っていると思います。逆に言うと、相手の気持ちに矢印を向けられる優しい人であれば、経験を問わずうまくやっていけるのではないでしょうか。